「愛と協同」今年は生協の父 賀川豊彦献身100年の年!
賀川豊彦(1888〜1960)は、明治、大正、昭和にかけて、愛の精神にもとづいて、人々の人格や人権が尊重される公正で平和な社会を実現するために、その全生涯をささげ、日本の近代化に大きな足跡をのこしました。労働運動、農民運動、協同組合運動、普選運動、平和運動、幼児教育、社会福祉活動など、賀川が関わった社会改良運動は実に広範な分野に及んでいます。それからはまた、まさしくボランティアの先駆けでもありました。賀川の思想と実践の原点は、ほかならぬ社会の最底辺に追いやられた人々との13年半に及ぶ生活にあったと言えるでありましょう。
1909(明治42)年12月24日、21歳の青年賀川は、当時、劣悪な環境下で生きることを強いられた人々が生活するその地域に住み込み、そしてその人々と共に歩むことを決意し、キリスト教伝道のほか、実にさまざまの社会活動をしたのでした。そこからさらに、貧しい労働者や農民が尊厳ある人間としていきることのできる権利を獲得するために、数々の社会運動を展開しました。2009年は、そのじから100年の年になります。
日本は豊かになる、しかし、日本人の心は貧しくなるであろうと、賀川は敗戦後の日本と日本人に警告のことばを語りました。現代の日本は、その賀川の予言どおりになっています。戦後60年を経過して、経済的には世界有数の大国となった日本の、あらゆる方面での腐敗と墜落、モラルの荒廃は目を覆うばかりであり、未来への明るい展望は見出せていません。世界に目を転じても、貧富の格差の拡大、テロと戦争、環境破壊等々、地球規模の危機は深刻になるばかりです。
このような今こそ、賀川豊彦の生涯と精神、理論と実践に学ぶことは、きわめて大きな意義があります。私たちは賀川豊彦の献身100年を期して、賀川の現代的意義と可能性を確認し、未来への指針としていかなければなりません。(賀川豊彦献身100年記念事業趣意書より)
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